今、自転車通勤が人気なワケ
今、健康増進や環境配慮の観点から自転車通勤への関心が高まっています。朝の光を浴びながら体を動かせば、目が覚めて爽やかで明るい気分になれるでしょう。さらに、脳のリフレッシュにもなって仕事の効率アップにも繋がるといわれています。
現代の社会人はデスクワークが多く運動不足になりがちですが、自転車で通勤すれば簡単に運動習慣を身につけることも可能です。日々の満員電車での通勤に疲弊している方や、日常生活の中で手軽に運動を取り入れたい方は、自転車通勤を始めてみてはいかがでしょうか。
通勤用自転車の選び方①:走行距離で選ぶ
通勤用自転車を購入する前にまずチェックしておきたいのが、自宅から職場までの走行距離です。走行距離によって適した自転車の種類が異なるため、想定される走行距離をチェックしておきましょう。
片道3~5km程度ならシティサイクルが扱いやすい
自宅から職場までの距離が近い方や、自宅から最寄り駅までのみの走行を想定している方は、ママチャリやミニベロなどのシティサイクルで問題なく走ることができます。距離の目安としては片道3〜5km程度、時間に換算すると約15〜30分程度です。
これらの車種は子供の頃から乗り慣れていて簡単に乗りこなせるうえ、比較的安価に購入できます。ただし、長距離の走行では疲労感を感じやすいため、走行距離が片道5kmを超える場合は次に紹介するスポーツバイクや電動アシスト自転車を選ぶのがおすすめです。
以下の表にママチャリとミニベロそれぞれのメリット・デメリットをまとめました。
片道5km以上ならスポーツバイクがおすすめ
自宅から職場までの走行距離が片道5kmを超える場合は、長距離走行に適したクロスバイク・ロードバイクなどのスポーツバイクを選びましょう。
クロスバイクは通勤からサイクリングまで幅広く使える車種で、ママチャリよりも楽に長距離を走行することが可能です。ロードバイクは元々レースに用いられていた本格的なスポーツバイクで、前傾姿勢を取りながら走行します。
このようなスポーツバイクはシティサイクルよりもスピードを維持しやすく、長距離を走っても疲労感を感じにくいのが魅力です。シティサイクルよりも値が張りますが、疲労感や走りやすさを加味すると、走行距離が長い方にはスポーツバイクの方が適しています。ただし、タイヤの幅が細くややバランスが取りにくいため、慣れるまでは少し乗りにくく感じるかもしれません。
以下の表にスポーツバイクのメリット・デメリットをまとめました。
電動アシスト自転車を選ぶのもアリ
シティサイクルやスポーツバイクよりも高価ですが、より快適な自転車通勤をしたい方は電動アシスト自転車を選ぶのもおすすめです。
電動アシスト自転車はモーターが内蔵されたタイプの自転車で、ペダルを漕ぐとモーターが連動してパワーをアシストしてくれます。一般的な自転車と比べて長時間乗っていても疲れにくく、パワーの必要な漕ぎ始めや坂道でも楽に走行できるのが魅力です。
昨今は、シティサイクルやスポーツバイクなどの車種を問わず、電動アシスト機能が搭載された自転車が販売されており、豊富な選択肢から自分に合った1台を選ぶことができます。
職場まで体力を温存したい方や、長距離の走行が必要だけどスポーツバイクを乗りこなす自信がない方は、電動アシスト自転車を検討してみてはいかがでしょうか。
通勤用自転車の選び方②:機能性で選ぶ
毎日の通勤で自転車を利用するにあたって、機能性も必ずチェックしたいポイントの1つです。公道を走行するのに必要な装備が標準搭載されているかはもちろん、変速機能や泥除けの有無などのプラスアルファの機能が備わっているかどうかも合わせて確認しましょう。
ライト・ベル・反射板は公道の走行では必須
自転車で公道を走行するにあたって、ライト・反射板は必ず取り付けるように道路交通法で定められています。また、ベルもほとんどの自治体で取り付け必須となっており、取り付けがなされていないと罰則の対象になる場合があります。
これらのパーツは、シティサイクルには標準装備されていることがほとんどです。しかし、元々ロードレースを想定して作られているスポーツバイクには取り付けられていないモデルも多く、その場合は後付けしなくてはいけません。
ライト・ベル・反射板の3つは、通勤用に関わらず公道を走るうえで必須のアイテムなので、購入前に必ず装備されているか確認するようにしましょう。
カゴがあると荷物を入れられて便利
自転車には、荷物を入れる前カゴや後ろカゴがあるととても便利です。通勤用のかばんを入れられることはもちろん、帰りにちょっと買い物をして荷物が増えたときでも、カゴがあれば安心して持ち運ぶことができます。
シティサイクルの場合は、ほとんどのモデルにカゴが付いていますが、一部のミニベロやスポーツバイクは軽量化のためにカゴが付いていない場合があるので、購入前に確認しましょう。
もしカゴが付いていないモデルでも、ほとんどのモデルでは後から取り付けることも可能です。ただし、カゴの重さが増えたぶんスピードが出なくなるので、走行性を重視したいならカゴをつけずにリュックを背負って通勤するのが有効です。
泥よけがあると雨の日も安心
泥よけとは、自転車の後輪に取り付けられているパーツのことを指し、走行時に地面の泥水が跳ね返るのを防ぐ役割を担っています。舗装されていない道を走るときや、濡れた路面を走るときなどは、泥よけが欠かせません。
泥よけはシティサイクルの多くには標準装備されていますが、スポーツバイクには付いていないモデルもあるようです。後付けも可能ですが、車体の形状によっては取り付けが難しい場合もあるので、購入前に泥よけが付いているか、付いていなくても後付けが可能かどうかを必ず確認しましょう。
変速機能があると坂道でも走りやすい
「変速」とは、自転車の変速機を使ってチェーンを移動させることで、ギアの組み合わせを変える機能のことです。主に坂道での走行の調節を行うことで、スピードに合わせて走行しやすくします。
昨今の自転車には車種を問わず標準装備されていることが多い機能ですが、念のため取り付けられているか確認しておきましょう。とくにスポーツバイクはギアの段数が多いモデルもあり、より細かい幅で調節することができます。
変速機能を上手に活用すれば、自分の体力・走行スピード・坂道・向かい風などの状況に応じて、より快適なサイクリングが叶うでしょう。
駐輪場所に合わせてスタンドの有無を確認
自転車を駅や職場の駐輪場に停めるなら、スタンドは欠かせません。一般的にママチャリやミニベロなどのシティサイクルのほとんどはスタンドが付いていますが、クロスバイクやロードバイクなどのスポーツバイクには標準搭載されていないことが多いため、注意が必要です。
必ず購入前に車体にスタンドが付いているかを確認し、もし付いていない場合でも後付けができるかどうか確認しておきましょう。
オフィスに持ち込むなら折りたためるものを選ぶ
勤務している職場に駐輪場がない方や、自宅の玄関スペースに余裕がない方は、コンパクトに折りたためるタイプを選ぶのも1つの方法です。折りたたみ自転車なら車体を半分に折りたたんでサイズを縮めることができ、場所を取らずに自転車を保管できます。
自転車を折りたたんでオフィスの中に持ち込むことができれば、付近の有料駐輪場を使う必要が無く、撤去や盗難のリスクも防ぐことができます。
通勤用自転車の選び方③:メンテナンスのしやすさ
自転車を毎日安全な状態で乗り続けるためには、タイヤの空気入れ・チェーンの注油・サビ取り・洗車などの定期的なメンテナンスも必要です。車種によってメンテナンス方法をしっかりと覚える必要があるものと簡単なメンテナンスで済むものがあるので、自分に合ったタイプの車種を選びましょう。
シティサイクルなら段差・デコボコ道に強くパンクしにくい
一般的にシティサイクルは頑丈に作られており、定期的なメンテナンスを行わなくても乗り続けられることがほとんどです。シティサイクルはタイヤが太く、段差や凹凸のある道を走っても衝撃を受けにくいことから、普段の走行でタイヤがパンクすることはほとんどありません。
また、スポーツバイクに比べてフレームが厚いため、転倒したりぶつかったりした場合に凹みにくいのもメリットです。自転車のメンテナンス方法が分からない、自分でメンテナンスをしたくないという方は、シティサイクルを選びましょう。
とはいえ、タイヤパンクのリスクが完全にないとは言い切れないので、できれば月に1回空気入れを行うのがおすすめです。自分で空気入れを行う自信がないという方は、近くの自転車ショップに頼むという手もあります。
スポーツバイクなら簡単なメンテナンス方法を覚えておこう
スポーツバイクはタイヤが細いために地面からの衝撃を受けやすく、シティサイクルと比較してタイヤがパンクしやすいという特性があります。スポーツバイクを安全に乗りこなすためにも、タイヤの空気圧チェック・空気入れ・ホイールの着脱などの簡単なメンテナンス方法を覚えておきましょう。
なかには、パンクしたときに簡単にチューブが交換できるよう、工具要らずでホイールの着脱ができるものもあるので、負担を減らしたい方はそのようなモデルを選ぶのもおすすめです。
いざというときに慌てないためにも、スポーツバイクに乗る場合はあらかじめ簡単なメンテナンス方法を覚えておくと安心です。
通勤用自転車の選び方④:デザイン
通勤で毎日使う自転車なので、デザイン性の高さも重要なポイントです。見た目のスタイリッシュな自転車に乗って通勤すれば、気分がさらに爽快になること間違いなし。カラーやフレームの形状、カゴの大きさや形など、自分好みのデザインの1台を見つけましょう。
通勤意外でも使えるデザインだと使いやすい
1番の目的は通勤用ですが、プライベートでも使いやすいデザインのものを選んでおくと、自転車の活用シーンが広がります。たとえば大きめのカゴが付いていれば買い物時に役立つほか、スタンドが付属していれば自宅での駐輪やメンテナンス時に車体を安定して固定しておくことができて便利です。
通勤時だけにとどまらず休日のサイクリングでも使うことができれば、活動範囲を広げたり趣味を見つけたりするいい機会になるでしょう。
デザイン性と機能性のバランスに注目する
たとえ見た目のスタイリッシュな自転車であっても、車体が重すぎたり変速機能がなかったりと機能面に問題点があると、かえって扱いにくくなってしまいます。毎日の自転車通勤が苦痛にならないためにも、ある程度デザイン性と機能性のバランスを保つようにしましょう。
最近は機能性の高さとスタイリッシュなデザインを両立しているものも多くあるので、そのようなモデルを選ぶのもおすすめです。また、電動アシスト自転車の場合は、バッテリーの持続時間や充電にかかる時間も合わせてチェックしておきましょう。
通勤用自転車と合わせて用意しておきたいもの
自転車通勤を始める前に、通勤用の自転車と合わせて用意しておきたいアイテムがいくつかあります。
- 自転車通勤用のウェア
- ヘルメット
- レインパーカー
- カギ
- グローブ
- メンテナンスキット
これらの紹介するアイテムはどれも快適で安全な自転車通勤には欠かせないものばかりなので、ぜひチェックしてみてください。
自転車通勤用のウェア
職場にロッカーや更衣室があるのであれば、自転車用のウェアを着て自転車通勤するのがおすすめです。
専用のスポーツウェアを着ればスーツや私服よりも動きやすく、走行中に汗をかいた場合でもしっかりと吸収して乾かしてくれます。とくに夏場は汗をかきやすいため、専用のウェアでなくても着替えがあった方が快適です。
また、スポーツバイクに乗る方は走行中にお尻が痛くならないよう、お尻の部分にパッドが付いたインナーを履くことをおすすめします。
ヘルメット
2023年4月1日にヘルメットに関する新しい道路交通法が施行され、子供だけでなく大人も自転車乗車時はヘルメットの着用が努力義務となりました。最近は軽量で通気性のよいヘルメットも多く販売されているので、自分の頭の形に合ったヘルメットを見つけやすくなりました。
自転車の交通事故による死亡事故が起きた場合、致命傷の多くは頭部にあります。日頃から万が一のことを考え、ヘルメットで頭を守ることで事故によるリスクを軽減しましょう。
レインパーカー
自転車に乗るときに、必ずしも毎回天気がよいとは限りません。雨の日も自転車通勤をするつもりの方は、撥水性のあるレインパーカーも合わせて購入しましょう。
なかにはサイクリング向けにフードを被っていても視界が確保しやすい透明フードのものや、自転車のカゴまですっぽり覆うことができる形状のものもあるので、1枚持っておくと安心です。コンパクトにたたんで持ち運べるものをかばんに入れておけば、急な天気の変化にも対応できるでしょう。